提案書の評価方法|評価シートで公平に比較するコツ
システム開発会社から届いた提案書の評価方法を解説。評価項目と配点の決め方、評価シートの例、プレゼンで聞くべき質問、価格だけで決めないための考え方を紹介します。
開発会社から提案書が届いたものの、どう評価すればよいか分からないという相談はよくあります。印象や金額だけで決めると、後から「思っていたものと違う」となりがちです。この記事では、提案書の評価方法として、評価項目と配点の決め方、評価シートの例、プレゼンで聞くべき質問、価格点だけで決めないための考え方を紹介します。
提案書の評価方法:評価項目の例
提案書を公平に比べるには、読む前に評価項目を決めておくことが大切です。読んでから項目を決めると、気に入った提案に合わせた基準になってしまいます。
評価項目の例を挙げます。
実績は名前だけで判断せず、中身を確認してください。似た事例と書かれていても、利用者や業務の種類が違うことがあります。
配点の決め方と評価シートのテンプレート
配点は自社の優先順位で決める
評価項目が決まったら、項目ごとに配点を決めます。配点は、今回の案件で何を一番重視するかで変わります。新規事業なら提案内容や体制を重く、既存業務の置き換えなら実績や保守を重くするのが一般的な考え方です。
参考として、国の情報システム調達では、大規模なシステムなどについて、技術点と価格点を合算して評価する「加算方式」の総合評価落札方式を用いる方針が2002年に示されています(総務省:情報システムに係る政府調達制度の見直しについて)。価格だけでなく、提案の質を点数にして合わせて評価する考え方です。
評価シートの例
各項目を5段階で採点し、配点の重みを掛けて合計します。
※得点=配点×(5段階の点数÷5)。数値は説明のための例です。
評価シートを使うときは、次の点に気をつけてください。
- 採点は複数人で別々に行い、点数が大きく違う項目を話し合う
- 点数の理由を一言ずつ書き残す(稟議で説明しやすくなります)
- 5段階の基準をあらかじめ文章で決めておく(例:「5=依頼書の課題すべてに具体策がある」)
プレゼンで質問すべきこと
提案書だけでは分からないことは、プレゼンや質疑で確認します。次のような質問が役立ちます。
- 「この提案で、一番難しいと考えている部分はどこですか」
- 「実際の担当者は誰ですか。今日の出席者はプロジェクトに入りますか」
- 「要件が途中で変わった場合、どう進めますか。費用はどう扱いますか」
- 「私たち発注者側には、いつ、どんな作業をお願いすることになりますか」
- 「この段階ではまだ分からないこと、検証が必要なことは何ですか」
- 「公開後の保守は、どの範囲まで、どのくらいの費用で対応してもらえますか」
- 「似た案件で、うまくいかなかった経験と、そこから変えたことは何ですか」
答えの中身だけでなく、分からないことを分からないと言えるかも見てください。都合の悪い点を正直に話す会社は、開発中の報告も信頼しやすくなります。
価格点だけで決めないための考え方
予算に限りがあると、どうしても金額に目が向きます。価格だけで決めないためには、次の工夫が役立ちます。
- 価格は最後に見る: 先に価格以外の項目を採点し、その後で価格を確認すると、金額の印象に引きずられにくくなります。
- 総額は運用費まで含めて比べる: 初期費用が安くても、保守やインフラの月額費用が高ければ、数年で逆転します。
- 範囲をそろえてから比べる: 金額の差は、作る範囲の差であることが多いです。見積の比べ方はシステム開発の見積書の見方で説明しています。
- 最低点の基準を設ける: 体制や実績が一定の点数に届かない提案は、価格が安くても選ばないと決めておきます。
評価が僅差のときは、点数だけで機械的に決めなくてもかまいません。上位の2社に追加の質問をしたり、担当者ともう一度話したりして、不安な点を解消してから決めましょう。その経緯も評価シートに書き残しておくと、後から判断の理由を振り返れます。
価格の重みを下げすぎる必要はありません。大切なのは、価格を他の項目と同じ土俵で評価し、判断の理由を説明できるようにすることです。
受託開発の現場から
開発会社が提案書を作るときに大切にしていることから、提案書を評価する観点になるものを紹介します。
- 良い提案書の条件: 受託開発の提案レビューでは、良い提案書の条件として、①結論から詳細へと階層的に整理され、同じ階層に重複がない、②各段階の概要に、期間・費用対効果・リターンなど投資判断に必要な要素がある、③経営者の目線で書かれている、④工程表が並行作業と準備期間を考慮している、が挙げられます。
- 課題に一対一で答えているか: 良い提案では、依頼書に書かれた懸念点をまず受け止め、それぞれへの対応策を活動計画に組み込んで示します。前回の打合せで受けた指摘と、その対応を表にして提案書の冒頭に置く例もあります。発注者は、自分の課題に一つずつ答えているかを確認してください。
- 事実と仮説を分けているか: 図や構成案に「仮説であり、調査結果により変更する」と書き、外部情報に確認日と出典を付けているかを見ます。メリットだけでなくデメリットや、その段階では検証できないことも明記されていると信頼できます。
- 動くモックで実現性を見せる: 初回の商談や提案の段階で、実際に触れる画面のモックを見せる開発会社もあります。発注者が完成形を具体的に想像でき、評価の判断材料が増えます。
まとめ
- 提案書を読む前に評価項目と配点を決め、気に入った提案に基準を合わせないようにします。
- 評価シートで項目ごとに採点し、点数の理由を書き残すと、稟議でも説明しやすくなります。
- プレゼンでは、担当者、難しい部分、発注者の作業、まだ分からないことを質問します。
- 価格は最後に見て、運用費まで含めた総額と範囲をそろえて比べます。
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